旧・音気楽ブログ

選ばれた人達に

あなたは「選ばれた人」ですか?  都心の超高級マンションに行ってまいりました。そこにお住いの方とどんな関係なのかは個人情報の問題もございますので、ふせさせて頂きます。さほどの広さはないのですが3LDKで1億円超えであることは間違いありません。11階などさほど高くはないのですが、高台に建っている分結構見晴らしが良い。リビングからの景色には、名だたる建造物がパノラマのように広がってしばし時間を忘れさせる。眼下には占有の庭園が広がり、豊かな緑をたたえ小さいながらも天然石で積み上げられた滝からは、留まることなく涼しげに水が流れ落ちる。海外旅行で異国のホテルにいるような錯覚。
車専用のゲートなどもあり、制服に身を包んだガードマンの敬礼で迎えられる。駐車スペースにはそれこそモータマガジンでしかお目にかかれないような高級車ばかりで、いくつものセキュリティードアーを通過して(そのたびにセキュリティーカードが必要)漸く目指す部屋番号の専用EVの前へ・・・。そこでガードマンと別れを告げEVに乗り込む。そのEVは指定された階にしか止まらない。厳かにドアーが開く。真っ赤なじゅーたん張りの廊下。静寂の中自分の足音すら聞き取れない。一枚200万はくだらないだろう玄関ドアーを左右に眺めながら目指す部屋番号を探す。佐藤さんとか高橋さんとかごく当たり前のお名前も、何やらお偉い人のように感じるのはなぜ?

恐らくそういう所に住んでいらっしゃる方は「選ばれた人」なんだと思います。管理・ガード・清掃などを受け持つ複数の人達がいてその人たちのおかげで、その選ばれた人達の暮らしが成り立つ。受け持つ人たちは選ばれた場所で働いてはいるが、選ばれた人ではない。選ばれた人のための選ばれた人ではない人。その人たちがいないと選ばれた人は成り立たない。

この度、10連休を迎えたことで思い知らされることあり。連休を謳歌する人のためにおそらくその10倍くらいの人が、その謳歌する人のために働いている。普段の2倍も3倍も働いている人がいたはずです。謳歌している人にはそんな事わかんないんですね。そんなの関係ねーですよね。同じく働いてくれる人がいなかったら謳歌する人も成り立たないんです。

私?選ばれた人ではないんで、ひがんでんじゃないのーとか言われそう。ひがんだりうらやましがったりしているわけではなく(負け惜しみ!)なんかそういう世の中の成り立ちということをちゃんと考えた方がいいよなーって思うんです。ええとこに住んだり高級外車に乗ったりで「選ばれた人」という意識を持つんだとするとそれは悲しいことで、選ばれたと思うんだったらますます色んなことに目を向けなければいけないんだと思います。ところが一旦そういう意識を持ってしまうと振り返ることができなくなるんですね。

建物に入って、目的の訪問先にたどり着くのに下手すると10分。忙しい業務の中「あそこには行きたくねー」と、宅急便のドライバーさんがこぼしていらっしゃいました。幸福は自分のおかげなんて思っているあなた、誰かに何かに、ほんのちょっとでいいですから「感謝」してみましょう。