旧・音気楽ブログ

身近な名所

あーそういえば、そんな所あったっけー、そんな人いたっけー・・・。「灯台下暗し」じゃないけど、そんなことよくありますよねー。わが町、荏田にも商店会なるものがありまして、江田の歴史を紐解く!「荏田散歩」なるものを発行されてました。普段見過ごされていた神社、お地蔵さん、石碑などが紹介されており、「ホー!」です。物もしかり、人もしかり、今度は是非、人物の掘り起し・紹介をやって頂きたい。

近所ですらそんな具合ですから、ちょっと離れると、日常から忘れられていく。横浜市に住んでいても意外と忘れていたり知らなかったりということが多いですね。
港北区に大倉山という東急線の駅があり、元は「太尾駅」という名称だったそうな。地名も太尾町。あるとき(5~6年前?)駅名も地名も大倉山になりました。小高い山があり、そのてっぺんに「大倉山記念館」なる建物が建っておる。その建物は1932年に長野宇平治設計によるギリシャ風神殿を構えた大建築物であり総工費は数十億円かかったと言われております。実業家として大成功した「大倉邦彦」なる人物が依頼したもので、教育にも大変熱心であった彼が、「当時の思想界・教育界の乱れに警鐘を鳴らすべく若者の教育のために研究所をひらいた」とあります。1981年にその建物は横浜市に寄贈され地所も含め今は市の管理下にあります。梅林の名所にもなっているようです。

御利用になった方もいらっしゃると思いますが、小規模のホールもありまして(80名収容)そこは木造建築になっており、なんと神社建築の木組み工法が用いられたそうな。荘厳に重たいドアを開けると、言葉では言い表せない独特の空間、空気感に包まれます。ステージがあり、中くらいのグランドピアノが静かにたたずんでいる。凛としたたたずまいの中に暖かさを感じさせる、電球の照明。ピアノの前に座ると、繰り広げられた数々の音楽の歴史が聞こえてくる・・・

しばし佇んだのち、ピアノのふたを開けて音を聴く。ゆっくりと会話するように音を拾っていく。走馬灯のように自分の生き様が流れてゆく。戻っていく…あのころに・・・

5月から記念館のピアノのメンテナンス(調律)をお任せいただくことになりました。ありがたやー!