音気楽ブログ

客が気を遣う

客が気を遣っちゃう店がある。中華料理の店なんだけど、メニューを見ると親父のこだわりがうかがえる。おそらく30年近くやっているんだと思うのだが、店は汚い。不潔というのではなく改装とか全くしていないので、床がはがれていたりテーブルカバーがくすんでいたり、メニューが黄ばんでいたりあと、メニューを書き換えたりしてるんだけど、新しい紙使わないで古いメニューの上に✖つけて横に汚い字で訂正してあったり、おおよそ見かけに何も気遣いがない。奥さんと二人で店をやっているんだけど(中国人の結構愛想のよいおくさん)ここ1年程その奥さん見かけない。つまり厨房もホールもそのこだわり頑固おやじが一人でやっている。
遅い!いつまでたっても料理が出てこない。一番時間がかかった時は注文してから25分かかった。さすがに切れそうになったが、事情を知っているだけにじっと我慢の子でいた。昼時は当然混むからちょっと早めに行く。さすがに料理がスムーズに出てくる。が、そのあとがよろしくない。次から次へとお客が入ってきて様々な注文。3番目あたりからもう滞り始める。客に水を出す、注文を聞く、厨房に戻って料理始める。また客に水を・・・なんてえことを一人でやっているもんだから迅速にサーブすることなんかできっこない。また客が入ってくる。うわー!土方のおっちゃんが5人も入ってきたー・・・。おらは何とかの大盛と餃子、おらは何とか麺と半ライス、おらは麻婆豆腐とラーメン・・・・・・。オーダーはどんどんたまっていく。料理は全然出てこん。客がだんだんイライラしてくるのがわかる。空気がやーな雰囲気になっていく。私、レバニラ定食食べているんだけど、なんか落ち着かない。一人だけ食べてんの申し訳ないような気になってくる。租借もそこそこに飲み込むようにチョッパやで食して、早々に立ち去る。
このおやじ、愛想がないというかことば足らずというか、例えばちょっと時間かかりますとか言えばいいのに、そういうこと一切言わない。もくもくと厨房とホールを往復している。半分以上の客の眉間にしわが寄っている。とにかくこのおやじ、まじめというか正直というか、もしかしたらバカなのか・・・。料理にはこだわりがあって、手抜きしないし材料吟味しているし、おいしいし。だから行っちゃうんですけど、客あしらいが超へたくそで、こっちがハラハラしちゃうんです。そんなとこ行かなけりゃいいのに、なんか惹かれるものがある。時間を外して午後一時過ぎとかに行くようにしています。すると面白いもんで、おなじような客がその時間帯にちらほら入ってくる。常連さんで、この頑固おやじのペースがよくわかっている人たちで、なんかツーカーな感じ。時間がかかることなんか気にしてない雰囲気が漂って、しあわせな空間になるんです。

世の中とはよくしたもんで、頑固物を理解してさせてくれる人がいるんだなー。頑固物はつまりは一生懸命やっているわけで、やっぱ筋が通っているからなんでしょうね!それにしても、奥さん帰ってきてあげてよ!多分子供といっしょに逃げっちゃったんでしょ!あの親父だったらわかるような気もするけど・・・・。でもこんな客のために、帰ってきてよーーーー