音気楽ブログ

適温

コーヒーが好きで一日に5~6杯は飲みますかね。朝はドリッパーで淹れる。あとは簡単な一杯だての物なんですけど、適度な苦みと香りが命なのでインスタントは飲まない、飲めない。さらに大事なのが「温度」である。淹れたてはおそらく90度くらいなんだと思う。表面を湯気がさっそうと舞っている。それに伴って香りが登ってくる。その温度では舌には少々熱いのだが、その熱さの刺激もたまらない。やがて適温となりスムースに入り込んだ苦みと香りが口中に広がる。80度くらいかと思われる。時間の経過(分単位の経過である)とともに温度が下がり始めて、60度を下回るあたりから妙な酸味が出始め、全体がドロリとした印象に変わり始める。いわゆる酸化現象である。こうなったらそのコーヒーは「死んだ」のであって、もはや飲むには値しないものになってしまうのである。そこに至るまでの時間は3分。であるから、コーヒーは3分以内に飲み干すべきである。

話に夢中になったり何か別なことに気を奪われたり猫舌であったりと、大体が3分以内には消化しきれていない。経過したものははっきり言って「毒」である。紅茶を愛するイギリスに方々も紅茶の正しい飲み方を知っていて、この「時間」を問題にされることだろうと思われます。味噌汁なんかもそうかな。やはりそれぞれに「適温」というものがありまして、人の心なんかも同じで、「適温」を無視すると動かないものなんですよね。恋愛において男が失敗する一番の原因が、この女性の「適温」に対する無神経・無知であります。温度を保つことも大事ですが、「保温」しすぎるとやはり味が落ちます。適温には時間的に限りがあるということですね。

人にも物にも「適温」がある。今一度この「温度」を見直してみませんか。