旧・音気楽ブログ

弘法 筆を選ばず

名人は、道具を選ばない。あるいは、どんな道具でもそれなりに使いこなす…ということですよね。たとえば、「文化包丁で刺身もおろす」みたいなこと。プロゴルファー「猿」という漫画がありましたが、彼は太い枝を削って作ったドライバー一本でゴルフをする。立派な道具をもった選手たちをぶちまかしていく。アイアンもパターも何もない。そのドライバーですべてのシチュエイションに対処していく。かっこよかったなー!一本の道具をあらゆる用途に使い分けていく。まさに筆を選ばず!

どんな車に乗っても、その車の最大限の能力を引き出せるんです。小さくてもボロでも古くてもそれなりに走らせる。邪魔にならないように流れに乗せることができるんです。乗り始めて5分も運転しているうちにそれが持つ能力をつかむことができる。どうしてやればその能力が生かされるのかが分かってくる。「ダメだ」と見捨てられたような車でもそれなりに力を引き出してあげることができる。
それは、ピアノについてもいえることであって、どんなメーカーのどんな状態のピアノでも、5分弾いていると何かが見えてくる。何がたりないのか、何をしてほしいのか、どうしてあげたらいいのか・・・そして、そのピアノが持っている力、表現力を最大限引き出してあげられんです。

いずれにしても、「5分」というのがポイントになっています。3分でも10分でもない、「5分」。おそらく、人に対しても同じく「5分」なんだと思います。短い!とお感じなるかもしれませんが、私にとっては「5分」が命です。